ブッシュウィックと聞くと、NYC近郊を知る人は、壁やシャッターにのびのびと描かれたカラフルなミューラル(Mural)と呼ばれる壁画のストリート・アートやビール醸造所を思い浮かべる方も多いかと思います。
今回は、主にそれらについてです。
1.ミューラル:ブッシュウィック・コレクティブ (Mural : Bushwick Collective)
壁画の始まりは、生まれも育ちもブルックリンのJoseph Ficalora氏が、自身が持つ壁、そして近所のビルのオーナー達に声をかけ、ストリート・アーティスト達に壁を提供し始めたとの事。その後、2012年にアーティストのコミュニティであるブッシュウィック・コレクティブ(The Bushwick Collective)を設立し、屋外のアート・ギャラリーとなったようです。
常に新しい画が描かれており、近年では、近郊のみならず世界中からアーティストが集まっているそう。また、最近は、コカ・コーラやレイバンなど企業が宣伝を壁に描き始めているそうです。ただ、常に新しく描かれるので、次に訪れた時に同じ壁画があるかはわかりません。
2.ミューラル巡り
壁画がたくさんある場所は、NYC地下鉄L線のJefferson Street駅から、Troutman StreetをSt. Nicholas Avenueに向い、それらの交差点近くからScott Avenue, Randolph Street,そして Flushing Avenue沿いに多くあります。そんなに広範囲でもありませんので、これをだいたいの目安にされて、あ!ある!と散策しながら見つけるのも楽しいでしょう。当たり前かもしれませんが、週末より平日、夏より冬の方が空いているそうです。
また、年に一度、アーティスト達をゲストとして招き、音楽演奏もあり、盛大に催されるBushwick Collective Block Partyがあるそうです。パーティに参加予定がなければ、その日にここを訪れるのは避けた方が無難かもしれません。
3.スナック
歩き疲れてお腹が空いたら、Jefferson Street駅近くのウィッコフ・アベニュー(Wickoff Avenue)沿いに様々なレストランやビアガーデン等があります。地元に住む友人が、中東料理Queen(247 Starr Street) https://queen.nyc を薦めてくれました。外観が目立つのですぐわかります。
また、小腹が空いたら、スペインや中南米料理のエンパナーダ(Empanada)専門店のEmpanada City(48 Cypress Ave)http://www.empanada.city ではいかがでしょうか。注文後揚げてくれ、外はサクサク、中はアツアツで美味。小ぶりなサイズなので、違う味を楽しむのもありかと。ちょうど具の違う大きめの揚げ餃子のようで、おやつ感覚で是非!
甘いものなら、70 Scott AvenueにあるFine &Raw Chocolate http://www.fineandraw.com にも是非。事前連絡すれば、工場見学も出来るようです。
ラーメンがお好きなら、少し足を延ばしますが、Johnson Avenueに製麺所併設の一蘭 https://www.ichiranusa.com があります。ただ、賑わっている通りではなく、少し外れた産業地区にあります。
4.ビール産業
- 歴史
さらに、ブッシュウィックは、その昔、米国北東部のビールの主都(Beer capital of the Northeast)と言われたそうです。当初、オランダ人に続いてイギリス人が入植した後、19世紀中期からドイツからの移民が増加しました。その頃、北ブルックリンで淡水が見つかった事でビール醸造所が発達。当時、14ものビール醸造所があり、それがさらなるドイツ移民の増加につながったそうです。
それらのビール醸造所に、1883年から1976年まで操業していたのラインゴールド醸造所(Rheingold Brewery )や、1872 年から操業のウルマ―醸造所(Ulmer Brewery)がありました。
ラインゴールド醸造所は、労働者階級向けビールを作り、今で言うMiss AmericaのようなMiss Rheingold Contestを毎年催していたそうです。
また、ウルマ―醸造所は、建物の一部が31 Belvidere Streetに残っており、 上部にあるUlmerのU の文字がひっそりと当時の様子を偲ばせてくれます。
残念ながら、ビール醸造所は、1920年の禁酒法制定後衰退していきました。
- KCBC
現在、ビール醸造所は多くはありませんが、KCBC(Kings County Brewers Collective)https://kcbcbeer.com など、比較的若いビール醸造も点在し頑張っています。
KCBCの缶は、かなり強烈で個性的な目を引くデザイン。NY近郊の酒屋でもよく見かけますので、奇抜なデザインの缶を探してみてください。
5.ショップ、カフェ等
ブッシュウィックの産業地区は、近年、スタジオや古着屋、本屋、おしゃれなカフェ、レストランそしてバーに改装されています。
例えば、かつての枕工場がおしゃれなブティックやカフェのある小さいモールShops at the Loom(1087 Flushing Avenue) http://www.theloomnyc.com になり、また、棺桶工場を改装したPine Box Rock Shopと言うバーもあります。このPine Boxは、棺桶(特にユダヤ人にとって)の意味でもあります。
また、グラッタン・ストリート(Grattan Street)、ボガート・ストリート(Bogart Street)、特にモーガン・アベニュー( Morgan Avenue)近辺は、モーガンタウン(Morgantown)とも呼ばれ、壁画も多く飲食の中心で、クールな地区だそうです。
6.まとめ
ブッシュウィックは、過去に深刻な貧困と麻薬問題があった街です。その事を踏まえると、安全のためにも、壁画が見やすい明るい時間帯に散策を楽しまれるのが良いと思います。
行き方
NYC地下鉄L線、Jefferson Avenue駅が便利です。
謝 意
I’m so grateful to David L., Kevin K., Tim for showing me around various places and sharing their knowledge.
参 照
Onofri, Adrienne. Walking Brooklyn. Wilderness Press, 2017.