
NY市クイーンズ区の南端に ロッカウェイ半島 (Rockaway Peninsula) があります。そこは、大西洋とジャマイカ湾に挟まれ、陸地と並行して東西に細長く走る約18キロ(11マイル)のバリアー・アイランド。東に行くとロング・ビーチ、ジョーンズ・ビーチやファイヤー・アイランドと他のバリアーアイランドにビーチが数多くありますが、それらはNY市外で、ロング・アイランドにあるナッソー郡やサフォーク群に属します。ロッカウェ半島はNY市に位置し、市内最大のビーチです。1830年頃からマンハッタンから日帰りで海水浴が楽しめる夏の避暑地として親しまれています。また、泳がなくても、果てしなく続く整備された遊歩道も楽しめます。

一応、直線は自転車、波線は歩行者用
ロッカウェイ半島は、主に9つの地区に分かれ、様々な階級の人々が混在しています。
地区は、東から順にファー・ロッカウェイ、ベイズ・ウォーター、エッジミアー、アーバーン、ロッカウェイ・ビーチ、ロッカウェイ・パーク、ベル・ハーバー、ネポンシット、ブリージー・ポイントで、南北に走る通り名は、ビーチ〇〇丁目となっています。
2010年の国勢調査によると、近接する島のブロードウエィ・チャネルを含めたロッカウェイ半島の人口は約11万5千人。主な内訳は、アフリカ系38.9%、白人35.2%、ヒスパニック系21%、アジア系2.2%となっていますが、地域によっては顕著に内訳は変わるようです。2012年のハリケーン・サンディで大きな被害を受けましたが、その後、復興と共に急速に再開発が進んでいます。
では、それぞれの地区について、簡単ですが東から順にお伝えします。
1.ファー・ロッカウェイ(Far Rockaway)

19世紀には富裕層の避暑地として「クイーンズのリヴィエラ」として人気のあった地区。その後20世紀中期以降、衰退し、NY市で最も貧しく孤立したコミュニティの一つとなります。現在は再開発が進行中、新しいアートや公共施設が建設され変わりつつあります。
2010年国勢調査によると、地区の人口は約5万人。内訳は、アフリカ系44.7%、白人25.5%、ヒスパニック系24.7%、アジア系1.9%。ジャマイカ、ガイアナ、ガテマラ、そしてロシアやウクライナ、正統派ユダヤ教徒の移民が多いとの事。
また、ここには珍しい歴史地区である、ビーチ・バンガロー歴史地区があります。前面ポーチがあり1階から1.5階建てが特徴の海岸バンガローがビーチ 24〜26丁目に集まる希少な住宅エリア。1920~1950年代は最盛期で、主に労働者階級の夏のリゾート地として賑わい7000棟以上あったそうです。しかし、1950年以降衰退。現在残っている建物は、米国国家歴史登録財で米国歴史地区として守られています。



2.アーバーン_ビーチ 56~77丁目(Arverne)
アーバーンの67~69丁目周辺は、レストランやおしゃれなカフェがあり、地下鉄の駅にも近く、NY市内でサーフィンが出来るスポットとしてサーファーが集まり、また、サーフィン体験も出来ます。
カフェの Locals Collective Locals Collective はサーフボードのレンタル等もあり若い人たちががんばっている感じのお店で、なかなか良かったです。


3.ロッカウェイ・ビーチ_ビーチ77~97丁目(Rockaway Beach)
ロッカウェイ・ビーチは家族連れや地元住民が多く、特にビーチ97丁目周辺はロッカウェイ半島の中心で最も賑やかと言える場所。ブロードウエィ・チャンネルを通って車でのアクセスも良いです。また、 ビーチ近くにフードマーケットがあり、タコスやクラフトビールなどを楽しめ、のんびり過ごせるようです。
4.ロッカウェイ・パーク_ビーチ98~126丁目(Rockaway Park)

この地区には、フェリー乗降場がビーチ108丁目に、そして地下鉄終点ロッカウェイ・パーク116丁目駅と多くバス・ストップがある大通りのビーチ116丁目があり、賑わっています。
フェリー乗降所近くにはシャトルを含めたバス停がいくつかあり、初めての訪問時はどうしたらよいか一瞬ためらいます。しかし、一番近いビーチへは、フェリー乗降場や地下鉄から徒歩10分ほどで行けます。
5.ブリージー・ポイント_169丁目から西端まで(Breezy Point)

左手がビーチ
この地区の住人内訳は、2010年の国勢調査によると、白人78.3%、ヒスパニック系10.8%、アフリカ系7.5%、アジア系2.1%。1990年代中ごろからイタリア系、ユダヤ人人口も増加との事ですが、2000年は白人98.2%。その内訳は主に、アイルランド系白人で「Irish Riviera」と呼ばれています。

ここには、リース・パーク(Riis Park)と旧軍事施設の跡地があるフォート・ティルデン( Fort Tilden)にビーチがあり、バスの終点169丁目から徒歩でアクセス可能。
半島の西端に近く、またバス終着地でもあるからか、他エリアに比べて、ビーチに人は少ないそうです。
ロクスベリーやブリージー・ポイントに小ぶりの住宅街がある以外は自然が多く、南西端には突堤(Jetty)があります。
また、会員制クラブSilver Gull Beach Clubがあり、子供が走り回ったりしていたので、庶民的な感じでした。








西南端の突堤(Jetty)を目指して訪れた事がありますが、バスの終点からも遥か遠く徒歩では無理、自転車が必要です。なかなか行けない場所なので、J. Uang氏が撮った貴重な突堤の写真で雰囲気を感じてください。



6.行き方

いざ、ロッカウェイ半島へ!!
ロッカウェイ半島には、マンハッタンからですと、ウォールストリートのピア11(Pier11)からフェリーで約1時間。
途中、ブルックリンのアーミーターミナルに停まります。
週末のフェリーは混み合い、乗船までの列が長いので、時間に余裕を持って行かれる事を勧めます。並びたくない方は、少し割高ですがリザーブ・チケット(Rockaway Reserve Tickets)もあります。これは座席指定ではなく、一般乗船者と別の列に並び、先に乗船できるので、席は間違いなく確保出来るシステムです。

フェリーでロッカウェイに向かわれる時、進行方向左側に座ると、コニー・アイランドなど景色が楽しめると思います。フェリーの時刻表、チケット購入など詳しい情報は、NYC Ferry – New York City Ferry Service で、到着後、各方面へ行くシャトルバスは、RW_Shuttle-Bus_SUMMER-6-30.pdf などで、出発前に最新情報をご確認ください。
または、ロッカウェイ半島にはNY市地下鉄A線でも行けます。余談ですが、A線はマンハッタン島の北端207丁目からロッカウェイ半島まで走る一番長い地下鉄の線です。
ファー・ロッカウェイへは、NY市地下鉄A線でも行けますが、ロングアイランド鉄道(LIRR)ファー・ロックアウェイ線終点ファー・ロッカウェイ駅からでも行けます。ただ、LIRR終点からビーチまでは若干距離があります。
7.あとがき

ロッカウェイと聞くと、2001年の911テロの2か月後に起こった飛行機墜落事故の場所、そして、ロングアイランドにある他のビーチに比べるとちょっとぱっとしない個人的な印象を持っていました。しかし、マンハッタンから近くはないですが、フェリーや地下鉄の利用で便利で気軽。長く続くビーチも開放的で波もそこそこあり、印象が変わりました。
自転車のレンタルがどこかにあると思いますので、遊歩道を快適に走れますし、遠くまで行けるので楽しいかと思います。良い運動にもなりますしね。
最後に、ビーチも遊歩道も日影はないので日焼け対策をお忘れなく。砂浜だけでお店もないビーチも多いので、飲み物持参も大事です。


Acknowledgements
I’m so grateful to Kevin K. for showing me around the neighborhoods and sharing his valuable knowledge.
Also, big thanks for J. Uang for allowing me to use his beautiful photos.
