見タイ知りタイ!行った気になる歴史と散策クイーンズ ⑪ セント・アルバンス – St. Albans

クイーンズ区

セント・アルバンズは、クイーンズ区南東部、ジャマイカの南に位置し、そして南へ2マイル程行くとJFK空港があります。街の中央を縦にファーマーズ・ブルバード(Farmers Boulevard)、横にリンデン・ブルバード(Linden Boulevard)が十字に走り、それらが交わる辺りが中心で、商店が並び、ロングアイランド鉄道(LIRR)セント・アルバンス駅があります。街の名は、聖人にちなんで名づけられたイギリスのセント・アルバンスからだそうですが、関係はわかりませんでした。

アーチー・スピグナー・パーク(Archie Spigner Park)

17世紀頃オランダ系の入植が始まり、19世紀には農家を中心としたコミュニティが形成。1898年にLIRRセント・アルバンズ駅が開業され、街は成長します。
2010年の国勢調査によると人口は約48,600人。主な構成はアフリカ系が88.6 %、ヒスパニックが6.5 %、白人1%、アジア系は0.9%と、圧倒的にアフリカ系住民の街です。歴史地区のアディスリー・パーク地区には、ジャズ界やスポーツ業界の著名人が多く住み、特に音楽ゆかりのアフリカ系文化の中心地でもありました。近年はカリブ系移民も増加中との事です。LIRRセント・アルバンス駅を出てすぐに、鮮やかな色彩の壁画があります。

LIRRのセント・アルバンス駅そばにあるセント・アルバンスに関わる著名人の壁画
LIRRのセント・アルバンス駅そばにあるセント・アルバンスに関わる著名人の壁画

1.アディスリー・パーク(Addisleigh Park )地区

アディスリー・パークの看板

アディスリー・パークは、パークと名についていますが、1910年から1930年に建設されたチューダーやコロニアル様式などの美しい一戸建てが並ぶ広範囲の米国歴史地区です。
開発当初は、アフリカ系を排除した白人専用の住宅地であったそうですが、 1948年、米国最高裁判所は平等保護条項に違反すると判決を下りました。その後、1960年代までにはハーレムから移り住んだアーティストの拠点となり、世界的に著名なジャズやソウル界の大物が集まり暮らし「アフリカ系アメリカ人版のハリウッド」とも呼ばれ、アフリカ系音楽のゴールデンエイジを支えた高級住宅地と言われています。

歴史地区にある家

代表的な居住者に、
・サックス奏者のジョン・コルトレーン(John Coltrane)
・歌手のナット・キング・コール(Nat King Cole)
・ジャズピアニストでビッグバンドリーダーのカウント・ベイシー(Count Basie)
・歌手のジェームス・ブラウン(James Brown)

歴史地区にある家

・歌手で女優のレナ・ホーン(Lena Horne)
・ピアニストで作曲家のファッツ・ウォーラー(Fats Waller)
・ジャズ・ベーシストのミルト・ヒントン(Milt Hinton)
・ジャズ・シンガーのエラ・フィッツジェラルド(Ella Fitzgerald) とそうそうたる面々で
す。

誰だかわからないのですが、有名な演奏家が住んでいた家
こちらも誰だかわからないのですが、有名な演奏家が住んでいた家
歴史地区にある家
歴史地区にある家

1.ロイ・ウィルキンズ公園(Roy Wilkins Park)

ロイ・ウイルキンズ公園は、街の南西に位置し、著名な公民権活動家ロイ・ウイルキンズにちなんだ名がついた広々とした公園です。
ここはかつてベイ・ブルースなど富裕層や有名人向けのゴルフ場やカントリー・クラブであったそう。そして後にベテランズ病院施設となるなど経緯はありますが、1980年代以降コミュニティの文化拠点となりました。
レクリエーション・センターに加え、野球、バスケット、クリケット、テニスができ、陸上競技場やオリンピックサイズのプールもある大きな公園であり、音楽祭や文化イベントが、毎年開催され、地元ミュージシャンや歴史的音楽文化を祝う場となっているそうです。

1.リバティ・ロック(Liberty Rock)

リバティ・ロック  Photo :Wiki
リバティ・ロックは、もとは第一次世界大戦の記念物だったそうです。しかし、現在は、1960年代後半に住民の二人の青年によってパン・アフリカン・カラーの「赤・黒・緑」にペイントされています。
これらの色は、アフリカ系アメリカ人コミュニティのアイデンティティ、抵抗と回復力のシンボル、また、音楽そのものの舞台ではないそうですが、ヒップホップやR&B文化などブラック・カルチャーの象徴的な場所ともなっているそうです。

1.あとがき

隣町ジャマイカとの境界近くで見かけたポスター

街にはレストランやカフェは見当たらず、地域に根差したような比較的小さな教会があちこちにありました。訪問時は日曜日の午前中で、多くの人が教会に行っていたのかもしれませんが、車や人が通りや家から出てくる様子もほとんど見かけませんでした。
高級住宅地でありながら、これ見よがし的な家もなく、著名人が住んでいたであろう家も慎ましい印象でした。いくつか公園もあり歴史地区に手入れの行き届いた美しい家々が並ぶ静かな住宅街のある街でした。
LIRRセント・アルバンズ駅が街の中心地にありますが、残念ながら地下鉄の駅からは遠く、バスの利用が中心となるので、若干訪問するには不便な地域かもしれません。

高級住宅地の割にひなびた印象のLIRRセント・アルバンス駅

行き方
・ロングアイランド鉄道の バビロン線かウエスト・ヘムステッド線セント・アルバンス駅下車。
または、NY市地下鉄E, J, Z線の終点ジャマイカ・センター―パーソンズ駅から徒歩で20分以上はかかります。

Acknowledgements
I’m so grateful to Sharon and Elizabeth for showing me around the neighborhoods and sharing their valuable knowledge.

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