見タイ知りタイ!行った気になる歴史と散策クイーンズ ⑫ アストリア – Astoria_観光編

アストリア

あすとりあ~~
アストリアは、クィーンズ区の北西部に位置し、ギリシャ系移民の存在感が強い地区です。他にイタリア、クロエチア系の人々も多いので、地中海系地区でも良いのでは、とも言われています。
さらに、中東・北アフリカ系コミュニティもあり、近年はアジア系も増加中との事。多民族が暮らす地区ゆえ、教会、モスクそしてシナゴーグも点在し、多種多様のレストランやカフェがあり、食を堪能できる地区です。

イースト川沿いにあるハレッツ・コーブ・プレイグランド、
対岸にはマンハッタンの摩天楼
かつて街の名は、地域で農業を営んでいたオランダ移民のハレット家(Hallet)からハレッツ・コーブ(Hallet’s Cove)と呼ばれていました。しかしその後、ビーバーの毛皮貿易や不動産で財をなした当時世界で最も裕福だったジョン・ジェーコブ・アスターの名を取りアストリアへと改名。あのウォルドーフ・アストリア・ホテルなどで有名なアスター家です。ハレットの名は今でもイースト川近く、プレイグランドやフェリー乗場近辺に残っています。

アストリアは国勢調査の目的で、北部をスタインウェイ、川沿いと北西部は最も古い住宅地で歴史的建築物が多い地区をオールド・アストリア、そしてその他をアストリアと3つの地区に区分しているそうで、人口は約200,000人。統計によって数値が違うのですが、人種別はおおよその数字として、白人が約47-48%、ヒスパニック24-26%、アジア系15-16%、アフリカ系7-8%となっています。まず、街の見どころスポットを紹介します。

1.アストリア公園(Astoria Park)

以前トライボロ―橋と呼ばれた橋RFK橋とその奥のヘル・ゲイト
アストリア公園は、アストリアの北西部、イースト川沿いにありヘル・ゲートやトライボロ―橋が見え、とても開放的な公園。運動や散歩が出来、特に週末には多くの人が、それぞれの活動を楽しんでいます。
また、NY市ランドマークとなっているオリン
ピックサイズのプールがあり、1936年と1964年に水泳とダイビングの米国オリンピックのトライアルが行われました。

アストリア公園内の競技場とRFK橋
NY市ランドマークのプール

1.ヘル・ゲート(Hell Gate)

うっすらピンク色の橋ヘル・ゲートは、アストリアとランドール島の間にかかる橋。貨物列車とアムトラック用の列車が走るのみです。橋の形は美しく、オーストラリアのシドニー・ハーバー・ブリッジやNJ州のベイヨン・ブリッジなどに影響を与えたそうです。一瞬ひるむ感じの名前の由来はわかりませんが、橋の近くは水の流れが複雑で岩礁もあり、かつてはジェネラル・スローカム惨事など事故は多発していた水域だったようです。

渦や白波のたつ水流
ジェネラル・スローカム惨事についての標識

1.ソクラテス彫刻の公園(Socrates Sculpture Park)

ソクラテス公園の入り口   Photo : John K.
イースト川沿いにあるソクラテス彫刻の公園は、オープンスペースの屋外美術館。以前はゴミ捨て場だったのをアーティスト達が屋外美術館に変えた場所で、対岸のマンハッタンの景色も楽しめます。

近くには、主にアップライト・ピアノを製造していたソマー・ピアノの(Sohmer Piano)工場跡がどっしりと構えています。米国で初めてベイビー・グランドピアノの販売もしていたそうです。
アストリアにはスタインウェイ・ピアノ工場、そして川向こうのブロンクス南部でもピアノ工場があったので、一帯はピアノ産業が栄えていたようです。

Photo : John K.
ソマー・ピアノ工場跡  Photo : John K.
この公園近くには、主にアップライト・ピアノを製造していたソマー・ピアノ(Sohmer Piano)工場跡がどっしりと構えています。米国で初めてベイビー・グランドピアノの販売もしていたそうです。
アストリアにはスタインウェイ・ピアノ工場、そして川向こうのブロンクス南部モット・ヘイブンでもピアノ工場があったので、一帯はピアノ産業が栄えてい
たそうです。

1.ノグチ美術館(Noguchi Museum)

彫刻家、野口勇のノグチ美術館が、ソクラテス彫刻公園から徒歩すぐにあります。屋内に数多く展示されている作品は見ごたえがあり、庭にも作品が展示されています。アメリカ人と日本人の両親のもとに生まれ、戦争を経験。自身のアイデンティに生涯を通して葛藤や苦悩があったと聞きます。力強くもあり何かしら温かさも感じる絶対無二の作品群。両国への強い想いが作品に反映されているのでしょうか。
https://www.noguchi.org/

控えめな入り口
駅からは若干離れた川沿いにあり街外れの場所ですが、徒歩圏内ですし、バスでも行けます。車での訪問は、Costcoが隣接しているため、週末は大渋滞になるので、避けた方が良いと思われます。

1.映像博物館(Museum of the Moving Image:MoMI)

映像博物館の入り口
映像博物館は、米国で唯一、映画やテレビなどの映像の歴史と制作技術を専門に扱うモダンな造りの博物館。1時間から1時間半で回れる大きさで、映画が好きな人にとっては楽しい場所かと。
隣接してカウフマン・アストリア・スタジオ(Kaufman Astoria Studios)があります。このスタジオは、1919年設立で、東海岸で最も長い歴史を持つ撮影所の1つとして知られています。

カウフマン・アストリア・スタジオ正面玄関
裏側から見たカウフマン・アストリア・スタジオ 

1.アテネ・スクエア(Athen Square)

ソクラテスとドーリア式柱
ギリシャ感ムンムンの名の公園、アテネ・スクエア。それもそのはず、ここにはソクラテス、アリストテレスや女神など胸像を含む4体の像とドーリア式の柱が並んでいます。このこじんまりと、ひっそりと佇む公園で、哲学者達の視線を感じながら、一息つくのはいかがでしょうか。地下鉄NとW線30th駅から徒歩ですぐです。

ソフォクレス
アリストテレス
女神アテナ

1.教会

多民族を反映した多宗教の地区ですが、その中で最も存在が大きいのはギリシャ正教((オーソドックス教会)、ニューヨークでも有数のギリシャ正教コミュニティと言われています。また、ローマ・カトリック、そしてイスラム教、ユダヤ教などさまざまな宗教が共存しています。
ギリシャ正教の中でもSt. Demetrios Greek Orthodox Cathedralは最も大きく活発との事。地下鉄の駅からのアクセスも良い立地にあります。
ローマ・カトリック教会のOur Lady of Mount Carmel Roman Catholic Churchは、住宅街にある見事な教会。日曜日のミサが行われている頃行きましたが、既に教会内はほぼ一杯にも関わらず人が次々と訪れ、地域に根差している印象でした。

住宅街にあるSt. Markella Greek Orthodox Cathedral

Mother of God the Liberator and St. Fanourios
Our Lady of Mount Carmel Roman Catholic Church

1.あとがき

住宅地に多くあったイチジクの木
アストリアは、映画撮影所があり多くの俳優が住んでいる事から「アクトリア(Actoria)」、また、イチジクの木など果樹を庭で栽培している家庭も多い事から「ビッグアップルのフルーツバスケット」とのニックネームがあるそうです。確かに、散策中、イチジクの木を植えた庭先をあちこちで見ました。
活気があり、いろいろな文化や食を満喫できる街です。どこか博物館か美術館を訪れ、お茶や食事をするととても充実した一日が過ごせる事間違いないです。
夜はわかりませんが、治安は問題ない印象でした。

ヘル・ゲートについては、良かったら 見タイ知りタイ!行った気になる歴史と散策 NY市 ヘル・ゲート – Hell Gate  | NYC-Walking & History をご覧ください。

行き方
・NY市地下鉄NまたはW線のBroadway駅、30Ave.駅、Astoria-Ditmars Blvd駅が便利
・メトロノース鉄道125丁目駅からではNY市バス、ラガーディア空港行きM60-SBSのHoyt Ave South/31 Stか
Astoria Blvd S & Steinway St停留所が便利

Acknowledgements
I’m so grateful to David L. and Sigrid for showing me around the neighborhoods and sharing their valuable knowledge. Also,to John K. for allowing me to use his photos.

参 照
・Onofri, Adrienne. Walking Queens. Wilderness Press, 2014.
Astoria, Queens – Wikipedia

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