見タイ知りタイ! 行った気になる歴史と散策マンハッタン ⑬ ガバナーズ島 – Governors Island

ガバナーズ島

ガバナーズ島 Photo : www.govisland.com

ガバナーズ島は、マンハッタン島南端から730メートル離れた場所にあり、かつては軍事的に重要だった島。172エーカーの広さに 歴史的建造物がたくさん残り、またピクニックやイベントが楽しめる緑地が広がっています。海岸線も美しく、行きかうフェリー共々、自由の女神が綺麗に見えるのも魅力。
形はアイスクリーム・コーンに例えられ、境界となるディビジョン・ロードから北側、アイスクリーム部分が歴史地区、南のコーン部分が埋立地で公園などです。

Photo :Therese

一般車両の乗入れが禁止されているので、大人から子供まで、喧騒を離れ静かに安全に過ごせる場所。そして、マンハッタンからフェリーで10分弱で行け、2018年には年間80万人の人が訪れています。
島そのものが、米国国家歴史登録財、米国国定歴史建造物、米国国定記念物、NY州歴史登録財、NY市ランドマーク。島内にも個別に歴史登録財もあるので、歴史てんこ盛りの島でもあります。

1.ざっくりな歴史

Photo :Therese

かつては、栗、ヒッコリー、どんぐり等が取れる故か、ナッツ・アイランドと呼ばれ、NY近郊に住んでいたネイティブ・アメリカンのレナペ族が狩やナッツ採取しに来ていたそうです。のちにオランダ人の植民地、次にイギリスの支配下に。
アメリカ独立戦争時は防衛施設、また、南北戦争時には北軍の捕虜収容所や補給基地でした。その後は、陸軍時代(19世紀〜1966年)と海軍時代(1966年〜1996年)と分けられるそうです。海軍は沿岸警備隊のようです。軍事の重要性が薄れた事で1996年には基地は閉鎖、2003年にNY市およびNY州に譲渡されました。

長らく軍人やその家族しか立ち入ることのできなかった島は、2005年に一般市民や観光客に開放。2021年までは夏場のみでしたが、今は一年中訪問出来るそうです。また、2022年の段階で、フル・タイムで住んでいる人はいないそうです。

2.二つの軍事要塞

フォート・ジェイ 

島には、二つの軍事要塞、星形のフォート・ジェイ(Fort Jay)と円形のキャッスル・ウィリアム(Castle Williams)があります。
島で一番古い建造物のフォート・ジェイは 、1794年にNY港の防衛のため建設され、1997年まで使われていました。水のない堀と土塁に囲まれた星形の設計は、敵の攻撃を全方向から防御するための典型的な構造。名は米国ファンディング・ファーザーの一人ジョン・ジェイ(John Jay)から。

フォート・ジェイ内側
フォート・ジェイの水のない外堀
キャッスル・ウィリアムの丸みある外壁

一方、キャッスル・ウィリアムは、1811年に完成した丸みを帯びた煉瓦造りの要塞。島の北西角に位置し、湾内を通る敵船の監視・防衛拠点として使われました。
独立戦争や南北戦争時に重要な役割を果たしたこれらの二つの要塞は、共に米国国家歴史登録財でNY市ランドマーク。特に建物内に展示がたくさんある訳ではなく、古い建物を観て楽しむ感じです。

キャッスル・ウィリアムの内側
キャッスル・ウィリアム全体の模型
フェリーから見たキャッスル・ウイリアム

3.その他歴史的建造物

島には、要塞以外にも、19世紀のビクトリア様式の住居群、旧教会や学校舎など数々の歴史的建築物があります。その中でも、際立つ2つをご紹介。

アドミラルズ・ハウス

・アドミラルズ・ハウス(Admiral’s House)
1840年代に建設され、陸軍司令官の公邸として使用された格式ある建物。前庭には2つの大砲があり、目印になります。
ここで、1988年レーガン大統領とゴルバチョフ書記長 の首脳会談がここであった!!! なかった!!!と言われるそうなのですが、特にそのような記録はないとの事。国連総会出席のついでに市内で懇談があったらしい、と言われています。米国国家歴史登録財、NY市ランドマーク。

また、周囲に、ランクの高い軍人、将校用の住居であるオフィサーズ・ロウ(Officers’ Row)と呼ばれるエリアがあります。

リゲット・ホール これで半分程の長さ

リゲット・ホール(Liggett Hall)
Building 400 とも呼ばれ、巨大な煉瓦造の兵舎(barracks)。その規模とデザインは、軍事建築としては全米でも特異だそうです。3から412 建て、長さが312メートルあり、結構目立ってました。でも、ランクによって住む環境が露骨に違うなあ、と思いました。

ギャラリーになっている建物があちこちに

他には、島に暮らす軍人と家族のために、映画館、YMCA、学校、教会やシナゴグなどの宗教施設があり、当時ポロやゴルフも楽しめたそうです。沿岸警備隊時代には、なんとバーガー・キングでビールが提供されていたそうです。
一般公開されている建物も多く、アーティスト達の展示ギャラリー、パフォーマンス、ワークショップなど文化イベントの会場として活用されており、ガイドツアーも提供されています。

元映画館
教会
ラベンダー畑

4.イベント

Photo : Mary G.

夏場は、野外コンサートや映画上映、食フェスティバルなどの楽しいイベントが盛りだくさん。イベントは、Upcoming Events | Governors Island (en-US) 確認できます。
夏には、「Jazz Age Lawn Party」呼ばれる20年代(禁酒法の頃)の音楽やファッションが楽しめるイベントがあり、2025年で20年目だそう。当時の服に身を包んだ人達が、音楽やダンスを楽しんでいます。区切られた会場に入るには参加費が必要ですが、外からでも十分、音楽や着飾っている人達の様子を楽しめます。
また、数年前に行った時は、日本の盆踊り(無料)が行われていました。

Photo : Mary G.
Photo : Mary G.
Photo : Mary G.

5.グランピング(Glamping)とスパ

グランピング場の形だけの門 

・グランピング
グランピングとは、グラマラス(glamorous)とキャンピング(camping)を組み合わせた造語。自然の中に、冷暖房、バストイレ付のテントやキャビンが設置されている高級キャンプ施設です。ここでは、テントやキャビン自由の女神に向かって設置され、食事できる場所もあります。利用した人は、のんびり静かに過ごせ、テント宿泊は全く不自由はなく、とにかく夕日に輝く自由の女神が最高と言っていました。NYならではの貴重な体験が出来そうです。
サイトは Collective Governors Island | Luxury Camping Resort New York です。

この周りにもたくさんテントがある

スパから楽しめるであろう景色

・スパ
最近出来たようですが、QCスパ QC Spa New York | Luxury Outdoor Spa on Governors Island があります。調べると高級感あふれるイタリアのスパ会社で、特に本国を中心に展開しているようです。なぜ、ガバナーズ島で?と思いますが、ローワー・マンハッタンの眺めが決めてだったのでしょうか。

6.その他の楽しみ

アウトルック・ヒルから北を望む
右手に白いテントがあるグランピング場

・アウトルック・ ヒル(Outlook Hill)
島の南端には「ザ・ヒルズ」と呼ばれる標高21メートルの人工の丘があり、頂上からは自由の女神、マンハッタン・ダウンタウンやNJ州のジャージー・シティ(Jersey City)のスカイラインが一望出来、なかなか良いスポットです。

小雨降る日に訪れたので、写真は少し暗い感じですが、絶景に変わりはありません。お詫びに天気の良い日に見える女神さまを付けます。

アウトルック・ヒルから西を向くと自由の女神が
天気の良い日の女神
4~5人乗り乗り物 Photo : Therese

・サイクリングなど
島内は自転車専用道路が整備されており、一人用から屋根付きの4~5人乗りまでレンタサイクルで島を一周することが出来ます。

また、ハンモックグローブ、滑り台、子ども向けの遊具やアスレチック施設も充実しており、家族連れにも人気。

・食べ物
ピクニックエリアがあるので、何か持参してそこで食べても良いですし、ちらほらとレストランやフード・トラックがあるので現地調達も可能。ダウンタウンのスカイラインと行きかうフェリーを眺めながら、オイスターなどを食べられる場所もあります。

7.行き方

マンハッタンのフェリー乗場:バッテリー・マリタイム・ビル

島へのアクセスは、フェリーのみです。マンハッタンのバッテリー・マリタイム・ビル(Battery Maritime Building)やブルックリン・ブリッジ公園のピア6から出ているフェリーを利用して、所要時間は約7〜10分です。マンハッタンからは30分おきですが、それ以外の場所からは1時間に一本の運行で、2025年時点で、往復料金は$5.00。フェリーの時刻表など詳しくは、Ferry | Governors Island (en-US) で確認できます。
バッテリー・マリタイム乗場のすぐ横にスタテン島フェリー乗場がありますので、お間違えなきよう。スタテン島フェリーは目立つオレンジ色です。

スタテン島に到着

また、土曜、日曜日の11時前まで(11時発は有料)は往復無料です。ただ、何かイベントがあれば混み合う事可能性がありますので、無料時間の乗船でも、無料チケットを入手されるのも良いと言われた事があります。
イベントのある日曜朝の無料時間帯に行きましたが、特にチケットをチェックされる事なくすっと乗船出来ました、ご参考まで。65歳以上の方々はいつでも無料。

8.あとがき

Photo :Pamela C.

島に到着すると、ぽつぽつと建物が立っていて、地味で一見何もない印象。でも、ここは観光地ではなく、マンハッタンの喧騒から離れて静かにのんびり過ごせる場所かと。自由の女神や摩天楼がよく見える以外、何にもないやん‼と思う人もいるかもしれませんが、自らで楽しむ場所だと思います。
一年中行けるそうですが、やはり気候の良い時期がお薦めです。
ちょっと贅沢ですが、機会があれば、グランピングやスパをいつか試してみたいな、と思います。

Acknowledgements
I’m so grateful to Robert L. for showing me around the island and sharing his valuable knowledge.
Also, thanks for Mary G., Pamela C., mljoseph and Therese for allowing me to use their photos.

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