見タイ知りタイ! 行った気になる歴史と散策ブルックリン ⑭ レッド・フック – Red Hook

ニューヨーク市観光

レッドフックは、ブルックリンの南に位置するウォーターフロント地区。高速のゴワナス・エクスプレス(Gowanus Expressway )が北東部の境界線となっています。NY州北部には同名の街がありますので、今回はブルックリンのレッド・フックです。
レッド・フックの名の由来ですが、レッドは赤い土の色から。そしてフックは、オランダ語の突き出た先端や角の意味のHoekからだそうで、英語のHookの意味ではないようです。

でも、見た目そのままホックやん!とは思いますが。

1.ざっくりな歴史

閉店してしまったバー、フォート・ディファイアンスの壁画

他の近隣地区同様、ネイティブ・アメリカ人が住んでいた所にオランダ人が1636年頃入植。
時間をかなり飛ばして、独立戦争時の1776年、NYの防衛のためフォート・ディファイアンス(Fort Defiance)が建設され、ロングアイランドの戦い(ブルックリンの戦いとも呼ばれた)での戦場となりました。

その後、1840 年代、起業家たちがエリー運河の「荷降ろし地点」として港を建設し始めます。港は年間26,000隻の船が行きかう産業の中心地となり、1890年頃アフリカ系、そして追ってイタリア系の港湾労働者がやって来ます。しかし、産業の発展により無秩序なスラム街も出現し、組織犯罪が増加し始め、レッド・フックは衰退していると言われるようになります。

エリー・ベイソン沿いにある古い倉庫

さらに1920年代、主に元水夫だった無職で貧しいノルウェー人達が住み、1930年代にはホームレスのための掘っ建て小屋がある地区があったりと地区は貧しかったそうです。
1939年にプロジェクトと呼ばれる低所得層アパート、レッド・フック・ハウジング(Red Hook Housing)が完成し、現在に至っています。このいくつかの建物から成るプロジェクト・ハウジングはブルックリン地区で最も規模が大きく、約6,000人もの人が住んでいるとの事です。

人口統計に関しては、2000年頃、43%はアフリカ系、ほぼ半数がヒスパニックまたはラテン系だったのが、2000~2016年の間に、白人の住民の増加は320%となったそうです。また、2016年の国勢調査の推定で、31%白人、35%アフリカ系。また44%がヒスパニック系またはラテン系と認識されています。ただ、合計すると100%を超えるのが不思議ですが、だいたいそんな感じ、と言う事で。

2.2つのベイスン( Basin:海盆) 

陸地に囲まれた港、内湾、船のドックを意味するベイソンが、レッド・フックには二か所にあります。ベイソンには、北西太平洋海盆と呼ばれる程かなり大規模な海底の凹所の意味もあるようですので、大小さまざま。
まず、一つ目は、エリー・ベイスン(Erie Basin)。ここには、これぞレッド・フック!!! とすぐわかる湾にある鉤のような形の堤防らしきものに囲われた所です。自然か人工なのかよくわかりませんが、堤防らしき所は、駐車場や倉庫になっているようです。

何と言ってもこのベイソンのすぐ横にあるのが、2008年にオープンしたイケア(IKEA)。参入・開発時には、渋滞、不動産価値の低下、そして歴史的に重要な建物の破壊など反対もあり賛否両論だったそうです。しかし、もしイケアがなければ、交通の便が決して良いとは言えないレッド・フックをどれだけの人が知り、訪れるのか。イケアは、週末にマンハッタンから往復できる無料フェリーを提供し、イケアの買い物客を含め、人々がレッド・フックを訪れてる事に貢献しているように、個人的に思えました。

停泊していたクイーン・メリー2号

二つ目は、アトランティク・ベイスン(Atlantic Basin)です。このベイスンには、NYCフェリーが停まります。
また、クルーズ船が停泊するブルックリン・クルーズ・ターミナルでもあり、クイーン・メリー2号がベイソンの外側に停泊していました。
さらに、引退したオイル・タンカーのメアリー・A・ホエレン号(Mary A. Whalen)があり、国家歴史登録財となっています。
ここから少し離れた場所、Conover Streetに同じく国家歴史登録財でウォーターフロント博物館となっている船、Lehigh Valley Railroad Barge Number 79 https://waterfrontmuseum.org/ もあります。大きくはありませんが、中を見学出来ます。

メアリー・A・ホエレン
ウォーターフロント博物館
Lehigh Valley Railroad Barge Number 79

3.ルイス・バレンチノ Jr. パーク・アンド・ピア(Louis Valentino, Jr. Park and Pier)

Photo : Talia I.
Photo :John K.

レッド・フックには、いくつかの公園がありますますが、この長い名前の公園ルイス バレンチノ Jr. パーク アンド ピアは、お勧めです。ニューヨーク市内で唯一、フランスを向いて建てられた自由の女神像を正面から見ることができ、美しい夕日も観れるそうです。

4.レストランやお店など

Red Hook Tavern:地味目な外観ですが、人気店

レッド・フックの目抜き通り、ヴァン・ブラント通り(Van Brunt Street)を中心として、チョコレート工房、醸造所、ビール工房、ワイナリー、その他キーライム・パイ屋があり、胃袋と舌が満足する事約束します。
まずは、レストラン。ハンバーガーがとても人気のRed Hook Taver
n https://www.redhooktavern.com/
ランチ時に呑気に行ってみましたが、甘かったです、入れませんでした。行かれる際は予約をされる事をお勧めします。

また、Hometown  Bar-B-Que https://hometownbbq.com/ は、私が今まで食べたブリスケット(Brisket:肩ばら肉)の中で柔らかく一番美味しかったです。その他のメニューも迷う程どれも美味しそうでした。長い列になることが多いので、気長にのんびりと。
また、お肉の気分でない時にシーフードとして、こちらも人気店のRed Hook Lobster Pound https://www.redhooklobster.com/ もあります。

Hometown  Bar-B-Que
ブリスケットとコールスロー
Red Hook Lobster Pound
United Sandwiches of America

その他にもBaked https://bakednyc.com/pages/location United Sandwiches of America
https://www.unitedsandwichesamerica.com/ など個性的なレストラン、カフェやフードトラックがありますので、ぶらぶらしながら探されるのも楽しいと思います。

Widow Jane

さらに、港町のなごりか、ビール工房やウイスキー醸造所が結構あるような印象でした。
醸造所ではよく知られたWidow Jane(218 Conover Street) https://widowjane.com/ 。ここはかつてチョコレート屋のCacao Prietoもあったようです。

また、 Van Brunt Stillhouse (6 Bay St. 1st Floor )
Van Brunt Stillhouseもあります。
味はどうなんだろうと思いますが、ワイナリーまであるそうです。

Van Brunt Stillhouse
壁画

スイーツは、チョコレートやパイなどを楽しめます。
チョコレート作りクラスもあるラーカ・チョコレート(Raaka Chocolate) 。聞きなれないRaakaとはフィンランド語で「生(raw)」の意味との事。特にフィンランドと関りはないそうですが、ラーカのチョコレート作りの本質を捉えているからだそうです。
パイでは、Steve’s Authentic Key Lime Pie https://keylime.com/ がよく知られ人気です。特に周りに何もない所にポツンとあり、え?ここ?と言う感じの立地。小さい窓口で購入しますが、外に簡易なテーブルがあるだけですので、持ち帰る人が多い様子。ルイス・バレンチノ Jr. 公園の近くです。
アイスクリームは小さい店舗ですがメキシコの棒アイス屋、La Tiendita: La Newyorkina   La Newyorkina Premium Mexican Icecream, icepops and sweets があります。
どのお店も若干離れた場所にある印象ですが、小さい街なので遠くはありません。

Raaka Chocolate
Steve’s Authentic Key Lime Pie
パイの値段は2022年当時

5.交通

NY市地下鉄F線とG線が止まるSmith-Ninth Streets駅(世界で最も地上から高い駅)が最寄りの駅となりますが、ここからはバスか徒歩となります。ただし、徒歩だと15分以上かかります。
水路でも行けます。NYCフェリーか、週末でしたらイケアが提供する無料のIKEA Ferry Serviceがあります。ミッドタウンの12番街39丁目にあるピア79、ダウンタウンのウォールストリートのピア11そしてレッドフックを結ぶフェリーです。往復共に、約一時間半おきに運航されているようです。

Photo : John K.

加えて、ミッドタウンのピア79に向かう2路線の無料シャトルが毎日マンハッタン内を走っています。ルートは44~57丁目ルートとグリニッジ・ビレッジ~チェルシーを回るルートがあります。専用のバス停はないため、これらルート沿いにあるNY市のバス停で待ち、来たら手を振って停まってもらうようです。フェリーの時間や詳しい無料バス・ルートは、IKEA Ferry Service (nywaterway.com) でご確認ください。週末にレッド・フックへお出かけの際に利用されると便利です。自由の女神やダウンタウンのビル群を水上から眺め、楽しさ倍増です

6.まとめ

元倉庫。一階には店舗が入っています。

かつての港町の名残があり、石畳の道や古い倉庫街が味わい深さを加えてくれます。パイオニア・ワークスというアートのハブを筆頭にギャラリーもそここにあります。
交通の便があまりよくないためか、まだ再開発の手がそこまで入っていない印象。レトロ感とのどかな雰囲気をそのまま残して欲しいと思いました。
訪れられるのは、季節の良い時期をお勧めします。寒い時期は人が少なく、少し寂しい印象がありました。
治安はおおむね良いと言われますが、北側は人通りは少ないです。

レトロな車
レトロなバス
なに用かわからなかった個性的な建物

謝 意
I’m so grateful to David L. for showing me around various places and sharing his knowledge, and also, to Talia I. and John K. for allowing me to use their photos.

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