今回は、NYCのブロードウェイ劇場地区へ。
ショーを観に行く以外は特に注意も払わず、ただ前を通り過ぎるだけの劇場。ほとんど何も知らないので、劇場巡りウォーキングに参加しました。ウォーキング・リーダーの説明とサイトで調べた情報を基にして、今回を含め4回に分けて紹介します。
劇場地区 (Theater District)は、南北は41丁目から54丁目と東西は6番街から8番街の間と広範囲ですが、ここでは42丁目から46丁目の間のにあるほんの一部の劇場です。
それでも、それぞれの劇場の紆余曲折の歴史や当時の創設者達、劇場に携わった俳優やスタッフ達の夢や情熱を少しでも感じて頂ければ嬉しいです。
1.ブロードウェイ(Broadway:通りとしての)
ブロードウェイと聞くと劇場街を連想しますが、実は、マンハッタン島南端のバッテリー・パークから北端のハーレム川まで島を南北に縦断しており、その先のブロンクス、その北にあるウエストチェスター郡そしてその先まで続いている大変長い通りです。
マンハッタン島内では、南端から14丁目間と59丁目のセントラルパーク南西59丁目から以北はアベニューと並行していますが、17丁目のユニオン・スクエア北西から59丁目の間は他のアベニューを斜めに交差しています。
2.ブロードウェイ劇場(Broadway Theaters)
劇場は、500席以上あればBroadway Theaterと呼ばれ、Broadwayにある必要はなく、リンカーン・センターを含めミッドタウンには41あるそうです。100~499席はOff-Broadway、99席以下はOff-Off-Broadwayと定義され、より実験的、挑戦的、また小さい劇場故に親密性がある演目が多いようです。
スペルがイギリス式のTheatreとなっている劇場が多いようです。演劇の歴史がより長いイギリスへの敬意でしょうか。
3.アムステルダム劇場(New Amsterdam Theatre)
ニューアムステルダム劇場は、タイムズ・スクエア近辺で初期にオープンし、最も古い劇場の一つ。10階建ての細長いビルとオーディトリウムのセクションがあり、2023年現在、ブロードウェイで3番目に大きいそうです。人であれば、重鎮ですね。
様式は、建物正面や外装はボザール(Beaux-Arts)、内装は、アールヌーボー(Art Nouveau)。劇場内には、テーマに沿ってたモチーフがあちこちのあるそうです。
劇場の設計や内装が素晴らしく、劇場初の演目上演初日の翌日、NYタイムスが上演作品についてではなく、劇場を絶賛した事で証明されたそうです。
その後も、見た事もない素晴らしい舞台セット、豪華な衣装、そして当時のスター達が出演する豪華絢爛のレビューが催され、それはそれは華やかだったそうです。
しかし、後に映画館に改装、そして閉鎖や放置、屋根の損傷により内装の状態悪化。酷い時は、劇場内に巨大なマッシュルームが生えていたりと激動の歴史があったようです。
その後、ディズニーが参入し、400名以上の専門職人が関わった改修工事が始まります。しかし、課題は山積み。1997年の劇場再開までに2年かかったそうです。
現在はディズニーが運営し、1997年からのライオンキング、次のメリーポピンズ、そして2014年からアラジンを上演しています。
・214 West 42nd Street (7と8番街の間、マダムタッソー近く)、
・1903年設立、1727席 (Playbill)
・劇場は国家歴史登録財で、正面玄関(Façade)とインテリアはNY市ランドマーク
・ディズニー(Disney Theatrical Group)が運営
4.ニュー・ビクトリー劇場(New Victory Theater)
ニュー・ビクトリー劇場は、NY市やNY州が所有し、1995年から子供向け劇場として非営利団体New 42nd Streetが運営しています。
何度も劇場名が変わり、映画館となり、あげく1972年、42丁目で最初のアダルト映画館となったそうです。
いかがわしい成人向け映画館から子供向け劇場へと、凄い変わりようです。
ここは、席数が499席なのでオフ・ブロードウェイ劇場ですが、入り口の階段(Stoop)にある鉄鋳物で出来た特徴あるライトと支柱が可愛いので加えました。
・209 W 42nd Street(7と8番街の間)
・1900年設立、499席 (Wiki)
・非営利団体New 42nd Streetが運営
5.べラスコ劇場(Belasco Theatre)
べラスコ劇場は、ニューヨーク演劇界における最も影響力のある一人と言われたデイビッド・べラスコ(David Belasco)が建設。
べラスコは、華やかな(派手)劇作家、俳優、プロデューサー、監督そしてセットデザイナ―と、なんでもこなした人との事。また、司教の衣装を着ていたので、ブロードウェイの司教と呼ばれていたそうです。
上演作品よりも舞台セットにこだわったべラスコは、技術の魔術師と呼ばれた実力ある建築家に設計を依頼。
多数の調光器やエレベータ式の舞台装置、冷暖房や空調など、当時としては高度な機械設備を採用し、内装にティファニーがデザインした照明が使われ、大きな壁画、多数の非常出口、バックステージにまでも配慮していたそうです。
劇場建設に巨額を注ぎ、自身用に劇場上層部にアパートを作り、熱の入れようが中途半端でなかったようです。
・111 West 44th Street(6番街と7番街の間)、
・1907年設立、1015席 (Playbill)
・劇場建物の正面、ロビーとオーディトリウムの内装はNY市ランドマーク
・シューベルト・オーガニゼーション(The Shubert Organization)が運営
6.ヘレン・ヘイズ劇場(Helen Hayes Theater )
ヘイズ劇場は、ブロードウェイ劇場としての席数500席を辛うじて超える597席で、ブロードウェイで一番小さい劇場。かつて、The Little Theatreと呼ばれていた事も納得します。ちなみに、一番大きい劇場は、1933席あるガーシュウィン劇場です。
ネオ・ジョージアン様式で、並んだ窓が印象的でした。建物の上の方だけを見れば大きな家に見えなくもない感じでした。
・240 West 44th Street(7と8番街の間)
・1912年設立、583席 (Playbill)
・劇場建物の正面とインテリアの一部はNY市ランドマーク
7.都市伝説(Urban Legend)
華やかな世界の裏に何かある! 出るらしいです、べラスコが彼の劇場に。
Wikiによると、劇団員や舞台裏スタッフが、舞台初日に司教の服をまとって、空いているボックス席に座っているのを目撃したり、何人かは幽霊が話かけようとしていた、と報告。また長い事使用されていなかったべラスコ専用エレベーターのチェーンがガタガタと音がする、不可解な足音、ドアやカーテンが動くなど。べラスコは、一時、出現していなかったようですが、2000年代にも何度も目撃されているそうです。愛する劇場が、亡くなってからも気になって仕方ないのかもしれませんね。
また、同劇場には、ブルー・レディー(Blue Lady)と呼ばれ、冷たい青い霧のような幽霊を見たとの報告もあるそう。ひょっとしたら、エレベーターのシャフトに転落死した女優かも、と言われているそうです。
まだあります、ニュー・アムステルダム劇場でも。
劇場のリーフレットによると、1920年、華やかな舞台に立っていたコーラスガールの一人が自殺か他殺か不明のまま水銀中毒で死亡します。その彼女の霊が、生前と同じようにステージから投げキッスをする姿が目撃されてるそうです。
劇場は、謎も魅力の一つになるのかもしれませんね。
謝 意
I’m so grateful to Kevin K. for showing me around and sharing his knowledge.