世界でもっとも有名なスクエアの一つ、タイムズ・スクエア。このスクエアの黒い過去と発展、そしてそこに建っている二つの銅像、また、賑やかな広場の近くにありながらひっそりと佇む教会など、多くの人が知っているようで知らないであろう見どころを紹介します。
1.タイムズ・スクエアの歴史
タイムズ・スクエアは、当初、ロンドンの馬車地区にちなんでロング エーカー スクエア(Longacre Square)と呼ばれていました。 ヴァンダービルトの馬取引所として利用され、 1880 年代後半頃は殺風景なアパートに囲まれた大きな広場だったそうです。
その後、電気や交通の発達に伴い様変わりします。
新聞社ニューヨーク・タイムス(NYT)の当時の敏腕オーナーが発展を見越し、非常に目立つ場所に当時NY市で2番目に高かったタイムス・タワー(The Times Tower)の建設をします。建設完了の1904年、このスクエア名はロングエーカー・スクエア―からタイムズ・スクエア―と改名されました。
翌年1905年、NYT本社はダウンタウンの新聞通り (Newspaper Row) から移りました。また、当時、近隣にアスターなど高級ホテルやレストランなども建設されたそうです。
このタイムス・タワーは、現在のOne Times Square、大みそかのカウントダウンのクリスタルボールが下りてくる建物です。流石の先見の明です。
現在のNYT社本社は、そこから数ブロック離れたところに居を構えています。
その後、1920 年代後半までに、地下鉄、高架線、バス路線が 42 丁目に停車し、住民だけでなく裕福な郊外の人々が訪れ、街の中心地となったそうです。まさしく、狂騒の20年代(Roaring Twenties) に目を見張るような発展を遂げたのだと思います。
しかし、1929年に始まった世界恐慌や第2次世界大戦により激変します。低俗な芝居や覗き小屋、安いレストランが増え、麻薬や売春などの蔓延。 犯罪率は1989年まで上昇し、タイムズ・スウエアは荒廃へと転落し、悪名高き地区となります。この頃、一部の劇場もアダルト向け映画館となったところもありました。
その後の復活は、述べる必要もないかと思います。
マンハッタンの劇場地区も、20世紀初期頃ユニオン・スクエア―(14丁目辺り)とマディソン・スクエア―(23丁目辺り)から現在の場所への移動が始まり、まさしくマンハッタンの発展は、ダウンタウンから徐々に北上していた事が覗えます。
2.ダッフィ・スクエア(Duffy Square)
ダフィ・スクエアは、タイムズ・スクエアの北方にあるブロードウエィ劇場割安チケット売り場:TKTSの辺りの三角地帯です。正式には、ファーザー・ダフィー・スクエア(Father Duffy Square )と呼ばれるそうです。
そこに力強く立つ銅像はダフィ牧師です。米西戦争と第一次世界大戦時、ニューヨーク陸軍州兵の部隊の従軍牧師(Military Chaplain)を務めた人。戦争後、NY市に戻った牧師は、聖十字架教会(Holy Cross Church;237 West 42nd Street)の牧師(Pastor)となり、銅像はこの教会の方を向いているそうです。この住所は、今は店舗などあるようなので、この教会はもうないと思われます。
3.ジョージ・マイケル・コーヘン像(Statue of George Michael Cohan)
ジョージ・マイケル・コーヘン(George Michael Cohan)は、1942年に64歳で亡くなったアメリカのエンターテイナー。劇作家、作曲家、作詞家、俳優として活躍した才能豊かな人。
小さい頃から、両親と姉妹と共にボードビル(Vaudeville : 歌・踊り・曲芸・寸劇などのバラエティー・ショウ)で出演していた芸歴も長い人です。
生涯で、50以上のショーや300以上の作曲をし、ブロードウエィのキング!と言われた人で、最も有名なヒット曲は「Give my regards to 」だそうで、銅像の横に刻まれています。
さらに、映画「ヤンキー・ドゥードゥル・ダンディ(Yankee Doodle Dandy )」は彼の伝記だそうで, 楽曲は The Yankee Doodle Boy (George M. Cohan) (youtube.com です。
昔からある有名なの歌、Yankee Doodle(Songs – Yankee Doodle Dany – American Traditional Songs – YouTube のリズムが出てくるのですが、関係性はよくわかりませんでした。
ダフィ牧師同様、ダフィ・スクエアに、彼の銅像があります。しかし、観光客が多い場所柄ゆえか、あまり知られていないのか、銅像に注目したり写真を撮る人はほとんどいません。
それでも、エンターテインメントの中心地で眩しい位の広告や人々に囲まれ、帽子とステッキを持って凛々しく立っている姿を見ると、幸せかと思います。
余談ですが、この二つの銅像のある場所にかつて8トンもある女神像があったそうです。もし近くに行かれたら、今とは違った景色があったかもしれない事を想像しながら、ダッフィ牧師像と共にコーヘン像に注目してみてください。
4.聖母マリア教会(The Church of Saint Mary the Virgin)
タイムズ・スクエアのダッフィ像からすぐ近くに、聖母マリア教会があります。この教会には、真っ青で夜空のような印象的な天井と見事なオルガンがあります。
喧騒に疲れたら、6と7番街の間46丁目にある静かで美しい教会に立ち寄ってみられるのはいかがでしょうか。
月に一回程度、オルガン・リサイタルが、夕方五時半から開かれるそうです。
2023-2024 Feast Day Recitals — The Church of Saint Mary the Virgin (stmvirgin.org)でご確認ください。
5.まとめ
人の多さとネオンの明るさで一瞬ひるんでしまいそうになる場所で、見過ごされそうになりがちな2体の銅像。もうご存じだと思いますので、次回行かれた時は親しみを持って見てみてください。
また、タイムズ・スクエア近辺は、一昔前は治安がとても悪かったとよく聞きます。今でも、8番街から西への方へ行くと雰囲気が変わり大麻の臭いも増えると感じますので、夜間は注意が必要だと思います。光が強い場所は影も濃いかもしれません。
そして、タイムズ・スクエアでいつもうろうろしているキャラクター達やその他写真撮るよ、など声をかけてくる人達は金銭を要求すると思われますのでご注意ください。対応しないか必要ないと伝える事が大事と思います。
謝 意
I’m so grateful to Kevin K. for showing me around and sharing his knowledge.
参 照
・Times Square – Wikipedia
・www.timessquarenyc.org/history-of-times-square
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