1. ゴワナス運河(Gowanus Canal)
ゴワナス(Gowanus)と言えば、2.9 kmある運河のある地区で、NY近郊に住むアメリカ人は、悪臭、ヘドロ、有害廃棄物 の三拍子を連想するとの事。
かつては自然の入江でしたが、1840年代、近隣に工場や倉庫がた立ち並び、当時では米国内で一番活気あった商業用運河になったそう。ただ、次第に工場等からの廃棄汚染により、NY市で最も水が汚く、臭くて有害と悪名が馳せてしまったそうです。
ようやく、政府から汚染地域の浄化目的のスーパーファンド (Superfund)と言われる支援金が出され、2017年クリーンアップを開始されました。
まだ作業機材が運河にあったので、浄化活動が完全に終わっていないのかもしれませんが、そこまで水の汚れも悪くなく臭いも気になりませんでした。
2. オールド・ストーン・ハウス と独立戦争
ゴワナスと隣町パーク・スロープ(Park Slope)の境界近くのJ・J・バーン公園(J.J.Byrne Playground)内に、Old Stone Houseと呼ばれる元オランダ移民農民の建物があります。1699年に建設されたものを1933年に再建したものです。現在は独立戦争戦闘のミニチュア模型や地図を展示している博物館として使われ、国家歴史登録財になっています。公園で遊ぶ子供たちの声が聞こえ、ゆったりと穏やかな時間が流れていました。
しかし、かつてこの地は戦場でした。
ワシントン率いる大陸軍の戦況は悪く、8月29日から30日の夜間に、小さな船を使い、物資も人命も全く失わず全軍をブルックリンからイーストリバーを渡ってマンハッタン島に退去(移動)させました。その後も敗北が幾度かあり、ニュージャージーを超え、ペンシルベニアまでの退却を余儀なくされました。
その後、1776年12月25日クリスマスの日の夜、ワシントンの率いる大陸軍兵は、ニュージャージー州トレントンでデラウェア川を渡ります。そして、翌26日早朝、英国軍を急襲するトレントンの戦いとなります。
メトロポリタン美術館にある有名な絵画「デラウェア川を渡るワシントン」は、凍てつく川を渡り、果敢に挑どもうとしている様子が見事に表現されていると思います。
サイズが378.5cm x 647.7cmととても大きく圧巻です。
ニューヨーク市は、終戦まで英国軍の支配下に置かれていましたが、
1783年11月25日、撤退の日(Evacuation Day )に、イギリス軍はマンハッタン島から出て行きます。
あのダウンタウンにある有名なチャージング・ブル(お尻を向けていますが)がある場所は、Evacuation Day Plazaと呼ばれ、11月25日、英国旗を降ろし米国旗を掲げるセレモニーが行われます。
3. アクティビティ
ゴアナスでは、ギャラリー、個性的なお店、ビール醸造所やレストランが増えつるあるようです。友人達と一緒に楽しめるアクティビティもありますので、いくつか紹介します。
・シャッフルボード
コートの上でディスクを押し出し、得点を競うゲーム、シャッフルボード。Union Streetにあるバー、The Royal Palms Shuffleboard Club https://www.royalpalmsshuffle.com で楽しめます。
・斧投げ
ちょっとワイルドな斧投げはいかがでしょうか。Degraw Streetにあるバー、Kick Axe Throwing https://www.kickaxe.com/brooklyn で楽しめます。
2022年に訪れた時と同様、本物の斧と木の的はそのままのようですが、今はハイテク技術も使われているそうです。
結構賑わっていたので、予約が必要と思います。
・ボルダリング
ゴワナスには、よく知られたボルダリングが出来る場所があるようです。Bouldering Project Brooklyn https://boulderingproject.com や Movement Gowanus https://movementgyms.com/gowanus などがあり、ボルダリング以外のアクティビティにも参加できるようです。
・カヌーやカヤック
運河でカヌーやカヤックが楽しめるようです。Gowanus Dredgers Canoe Club http://Gowanus Dredgers Canoe Club が、運河ツアーを提供をしているそうです。
カヤックで橋をくぐったりと運河巡りも楽しいかと思います。
4. スイーツ
甘いものに目がない人には、まず、パイ屋のFour &Twenty Blackbirds https://birdsblack.com。周りのパイの皮がサクサクしてとても美味しいのですが、若干強気のお値段。ウエッブで見るとお抹茶味もあるようです。
お店の名は、英語の童歌:Sing a Song of Sixpenceに出てくるので、そこから名付けられたかもしれません。
次は、それぞれのフレーバーに楽しいネーミングが付いていているアイスクリーム屋、Ample Hills https://amplehills.com 。
ダークチョコレートにクッキー、ブラウニーとホワイトチョコ使って見た目ゴアナスのヘドロ似にした「It Came from Gowanus」は、濃厚な味で美味しかったです。
残念ながら、NY市の他地区に店舗は移り、ゴアナス店は閉店してしまいましたが、どうしてもヘドロに似せたアイスクリームがあった事を伝えたかったのです。
5.Smith-Ninth Streets駅
ゴワナス運河に行く際の最寄り駅は、Smith–Ninth Streets 駅です。この駅は地上26.7 mの高さがあり、高速鉄道では世界一高い駅との事。
その昔、高いマストのついた船が通るよう作られたCulvet Viaductと呼ばれた高架橋だったからだそうです。
6.まとめ
かつて、産業汚染による運河の水質汚染や、2000年代初期ホームレス、浮浪者、家出人などの不法滞在者のたまり場もあったゴアナス。しかし、近年は、浄化による水質改善が進み、大手高級スーパーWhole Foods が古い建物を店舗に改築しました。この大きな店舗は再開発の象徴となり、徐々にアパートが建ち始め、近隣の高級住宅地からの流入が始まりっているとの事です。
加えて、昔の発電所を活用したアート・スタジオや、広々としたアート・スタジオのARTS GOWANUS https://www.artsgowanus.org/ など芸術家たちが制作活動できる場所が増え、注目されているそうです。
かつて産業地区だった故か殺風景な建物がまだ残っており、正直華やかな印象はありませんでした。しかし、綺麗になりつつある運河が街の個性となり、これからどんどん若い人達を惹きつける街に変わっていくようで、伸びしろは大いにあり!と思いました。
機会があれば是非、足を延ばしてみてください。
行き方
ゴアナス運河へは、NYC地下鉄FかG線のSmith-Ninth Streets駅が便利です。
謝 意
I’m so grateful to David L. for showing me around various places, sharing his knowledge and spending time with me, and also, to Amy S. for allowing me to use her photo.
参 照
・Gowanus, Brooklyn – Wikipedia
・ロングアイランドの戦い – Wikipedia
・Battle of Brooklyn – The Old Stone House in Brooklyn
・米国の歴史の概要 – 独立への道 |About THE USA|アメリカンセンターJAPAN
・Emanuel Leutze | Washington Crossing the Delaware | American | The Metropolitan Museum of Art
・Brooklyn Dodgers – Wikipedia
・Onofri, Adrienne. Walking Brooklyn. Wilderness Press, 2017.