見タイ知りタイ! 行った気になる歴史と散策マンハッタン ③ インウッド – Inwood

インウッド

 今回は、マンハッタン島最北端にあるインウッド(Inwood)地区です。
インウッドは、かつてはアイルランド系やユダヤ系の人が多く住んでいましたが、現在は、隣の地区ワシントン・ハイツ同様、大多数がドミニカからの移民で、NYC内で最もドミニカ出身者が多いそうです。また、前回の国税調査によると住人のほぼ半数が米国生まれでないそうです。今回は、インウッドの公園近辺が主です。

1.インウッド・ヒル公園(Inwood Hill Park

 インウッド・ヒル公園は、マンハッタンで唯一、開発も手入れもされていない木々が茂る自然のままの丘で、少なくとも3つの湧き水があるそうです。公園辺りは、結晶片岩(schist、シスト)で出来ておりハドソン川より61メートルも高いそうです。

わかりにくいですが、対岸のパリセード
ハドソン川を北に向かって

 公園で、北に向かって立つと左手にハドソン川とそれに沿って対岸のニュージャージー州にある、玄武岩(basalt)の崖(パリセード:Palisades)が連なります。このパリセードは、32キロもありNY州ナイアック(Nyack)まで続いており、米国国定自然ランドマークです。

2.ショラクポッチ・ロックShorakkopoch Rock

ショラクポッチ・ロック

 ショラクポッチ・ロック(発音はおそらくこれかと)は小さめの岩で、意味は「座る場所(sitting-down place)」だそうです。
 1626年に、オランダ提督ピーター・ミヌイット(Peter Minuit)が、かつてここに住んでいたアメリカ先住民のレナぺ(Lenape)部族からマンハッタン島を買った場所。 レナぺ部族は、当時の60オランダ・ギルダー(約$24と言われている)の価値があるビーズ等を受け取ったそうですが、彼らの認識は土地の売買ではなく、共有だったと言われています。
 また、この岩は、かつてマンハッタンで一番大きかったユリノキ(Tulip Tree)があった場所でもあります。
 

3.コロンビア大学スポーツ施設

ロンビア大学のスポーツ施設

大学キャンパスから離れていますが、コロンビア大学の立派なスポーツ施設、ベイカー・アスレチック・コンプレックス(Baker Athletics Complex)が、218丁目にあり、写真の木陰から見えるドームの辺りです。
ハーレム川対岸のどこかに大きくColumbiaの「C」と描かれているそうです。

4.スパイテン・ダイヴィル・クリークSpuyten Duyvil Creek 

 スパイテン・ダイヴィル・クリーク (Spuyten Duyvil Creek) は、スパイテン・ダイビル川とハドソン川の合流点にあります。
このぱっと見て発音が難しそうで舌を噛みそうなオランダ語の名、スパイテン・ダイヴィルの英語訳は、Spitting Devil, Spinning Devil, Devil’s Whirlpoolと諸説あるようです。満潮時には荒れる場所のようなので、どれも水の動きにデビルと付いているのが興味深いかと。個人的には、悪魔の渦 (Devil’s Whirlpool)が、なるほど、としっくりくる感じ。当時の人達は、英語だったら、こんな感じかも?と好きなように名付けたような気がしないでもないなあ、と思ったりしています。
 このクリークの上にはヘンリー・ハドソン橋がかかり、ブロンクスとマンハッタンを結んでびます。

ヘンリー・ハドソン橋、左手がマンハッタン島、右手がブロンクス

5.メトロノース鉄道ハドソン線 (Metro North Railroad, Hudson Line)

スパイテン・ダイヴィル駅とカーブ

 ハーレム川の横すぐにメトロノース鉄道ハドソン線のスパイテン・ダイヴィル駅があります。北に向かう場合、この駅を出てすぐのほぼ直角カーブを回った後、電車はずっとハドソン川に沿って北上し、美しい景色を楽しめます。 
 実際に、通勤に利用している友人から、ハドソン線の魅力について生の声を聴かせて頂きました。

Photo :Wikipedia.org/Metro-North_Hudson_Line

 やはり景色かと思います。NY州は氷河がつくった地形らしいですが、初めてハドソンラインに乗った時は、車窓からの景色に納得しました。氷で削られたであろう山肌が何百メートルも続くポイントがあります。
 また、冬の朝、川霧の中に浮かぶ対岸の山々(丘?)は宙に浮いているように見えて幻想的です。冬は帰宅時間真っ暗ですが、夏の帰宅時に眺める夕焼けの空は、子供の頃に読んだ葉祥明の絵
本のようでノスタルジーに浸ってしまいます。
 加えて、Croton-HarmonやTarrytown以外、小さなビレッジが多いので、のんび
りした雰囲気の小さな駅が多いです。

 平日は通勤客がほとんどで、車内は大変静かです。NYCのMidtownに住む友人からは公共の乗り物で眠るのは、危険だと言われましたが、朝夕のハドソンラインは私も含め皆さん眠ってます。座席が向い合せでなく一方方向を向いているので、なんとなくプライバシーも守られていて、仕事したり、読書したり、お弁当食べたり、編み物したり、揺れにさえ慣れてしまえば非常に快適な空間です。片道約1時間の乗車ですが、ハドソンライン沿いの景色を眺めつつ、仕事モードと自宅モードに切り替えるのにちょうどよい距離かと思っています。」とおっしゃっていました。
距離があっても、うっとりする景色を堪能でき快適に過ごせる通勤は、羨ましく素敵だなとしみじみ思いました。
 

 余談ですが、1984年に公開された映画「恋におちて(Falling in Love)」に出てくる電車がこのハドソン線です。今、車両が新しくなったので雰囲気は少し違うかもしれませんが、恋におちるかもしれない電車ですね。

 

5.まとめ

居住地?

インウッド・ヒル公園は、一見、普通の公園に見えたのですが、意外と上り下りがある林でした。また、かつてアメリカ先住民の人達が夏の時期、寝床として使っていた岩があり、ここはマンハッタン島?と疑ってしまいそうになる場所でした。でもここは、マンハッタン島の新たな歴史が始まった場所でもあり、ここの自然が当時の様子を垣間見せてくれるようでした。

6.おまけ:フォート・トライオン公園(Fort Tryon Park)

 このインウッド公園のすぐ隣の、フォート・トライオン公園(Fort Tryon Park)は、高台にあり、ハドソン川とパリセード、そしてニューヨーク州とニュージャージー州をつなぐジョージ・ワシントン橋の望めは素晴らしいです。また、春先から、特に紅葉の頃は絶景です。

from MET Official Site
from MET Official Site

  この公園内にはメトロポリタン美術館別館のクロイスター(The Cloisters)https://www.metmuseum.org/visit/plan-your-visit/met-cloistersあります。ここはニューヨークかと戸惑う程ヨーロッパ中世の雰囲気たっぷりです。体力と時間に余裕があれば、是非足を延ばしてください。

行き方
インウッドへは、NYC地下鉄A線 Inwood-207丁目駅かDyckman Street駅、または1号線215丁目駅が、
クロイスターへは、NYC地下鉄A線 190 Street駅かDyckman Street駅が便利です。

インウッド公園は、舗装された道以外は人けが少ないので、どなたかと一緒に歩かれることをお薦めします。

謝 意

Mさん、メトロノース鉄道ハドソン線の様子を教えて頂きありがとうございました。
I’m so grateful to Steve Gala for leading this walk and sharing his knowledge.

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