今回は、ブロードウェイ劇場のほぼ半数を手掛けた建築家ハーバート・クラップ(Herbert Krapp) による、そして現在シューベルト運営会社が運営している劇場と、これぞブロードウエィ通り!と言える区間の紹介です。
1.ゴールデン劇場(Golden Theatre)
ゴールデン劇場は、不動産業を営みブロードウェイに6つの劇場を手掛けたったチャニン兄弟(Chanin)とブロードウェイで多数の劇場を手掛けたしたハーバート・クラップ(Herbert J. Krapp)が設計した劇場です。
以前の名はマスク劇場(Theatre Masque)でした。しかし後に、家族の絆や家庭生活を中心とした作品を数々生み出した多才な劇場プロデューサー、ジョン・ゴールデンの名に改名されました。
1940年代中期に約2年間映画館だった時もあるこのこじんまりした劇場は、ドラマ向けにデザインされてるそうです。
建物正面にアーチがありますが窓がないです。内装は控えめですが見事なシャンデリアがあるそうです
・252 West 45th Street (ブロードウェイと8番街の間)
・1927年設立、 802席 (Shubert Official Site)
・建物正面とオーディトリウム内装はNYCのランドマーク
・シューベルト・オーガニゼーションが運営
2.ジェイコブス劇場 (Jacobs Theatre)
ジェイコブス劇場も、チャニン兄弟(Chanin)とクラップによるもので、モダン・スパニッシュ様式も建設時期も同じです。
建物正面は金色レンガとテラコッタ等で楽器が施され、アーチ型になった窓が美しく並んでいるのが特徴です。劇場内に「スペインの恋人達;Lovers of Spain」と題されてた壁画があるそうです。
経営権が変わる際に、ロイヤル劇場(Royale Theatre)、やジョン・ゴールデン劇場(John Golden Theatre)と改名されている経緯があります。
シューベルト兄弟による運営です。
・242 West 45th Street (ブロードウェイと8番街の間)
・1927年設立、1,092席 (Shubert Official Site)
・建物正面とオーディトリウム内装はNYCのランドマーク
・シューベルト・オーガニゼーションが運営
3.マジェスティック劇場(Majestic Theatre)
チャニン兄弟がクラップに設計を依頼し建設した最後の劇場が、マジェスティック劇場。45丁目にある小サイズのゴールデン劇場、中サイズのジェイコブ劇場を含めた3つの劇場を複合施設として建設し、チケット売上に合わせて、効率的に公演劇場を設定していたそうです。
余談ですが、上記のゴールデン、ジェイコブとマジェスティック劇場を同時期に建設したチャニン兄弟は、劇場名を公募したそうです。そして、小さい劇場をマスク(Masque)、中サイズをロイヤル(Royale)、一番大きいのをマジェスティック、と名付けた経緯があります。
座席は、どの席からもよく見えるよう勾配をつけたスタジアム式の座席に設計。レンガ、テラコッタやアーチ型窓を用いたモダン・スパニッシュ様式。 外観は、窓もなく、マジェスティック!感はあまりなく、むしろ地味な印象。しかし、内装はアイボリーとゴールドの配色を使ったルイ15世時代のスタイルとの事なので豪華かと思います。
この劇場は、何と言っても、1988年から 2023年の間、ブロードウェイ一番のロングランであった「オペラ座の怪人」が上演されていた劇場としても有名です。
・245 West 44th Street (ブロードウェイと8番街の間)
・1927年設立、 1681席 (Shubert Official Site)
・劇場建物の正面、ロビーとオーディトリウムはNY市ランドマーク
・シューベルト・オーガニゼーションが運営
4.ショーンフェルド劇場(Schoenfeld Theatre)
ショーンフェルド劇場は、シューベルト兄弟とクラップによる建築です。
この劇場は、シューベルトとブース劇場のように、44丁目にあるブロードハースト劇場(Broadhurst Theater)と一体で建設されています。劇場名はプリマス劇場(PlymouthTheater)から、シューベルト運営会社会長であったジェラルド・ショーンフェルドの名に改名されました。
ブロードハースト劇場同様、ネオクラッシック様式のレンガとテラコッタで作られた丸みのある入り口に特徴があります。隣にあるブースとシューベルト劇場の華やさが若干反映されているとの事です。
・236 West 45th Street
・1917年創設、 1,084席 (Shubert Official Site)
・ 建物正面とオーディトリウム内装はNYCのランドマーク
・シューベルト・オーガニゼーションが運営
5.ジョージ・アボット・ウェイ(George Abbott Way)
タイムズスクエアの西45丁目、ブロードウェイと8番街の間のワンブロックは、ブロードウェイのプロデューサー、監督、劇作家として活躍したジョージ・アボットの名、ジョージ・アボット・ウェイと呼ばれています。
ここは、とにかく劇場密集地。上記4つの劇場以外に、もミュージック・ボックス劇場、インペリアル劇場とシューベルト運営の傘下の劇場が多くあります。また、ホテルなど大きな建物もあり、旅行ガイドブックでブロードウェイ紹介の写真に使われそうな、華やか!賑やか!ザ・ブロードウェイ!!!! な感じの通りです。劇場が軒を連ねるまさにシューベルト村。建物に感情があるとすれば、親戚多すぎ! 距離近すぎ!ちょっと一人になりたい!と思いそうな立地です。
謝 意
I’m so grateful to Kevin K. for showing me around various places and sharing his knowledge.